頭が心と体を攻撃する
「気合い・根性・時の運」でがむしゃらに頑張れば事は成る…確かにそうですが、今の時代は複雑でそんなに簡単ではありません。そして、大きくなった「思考」という頭が、ウツや引きこもり体調不良など、自らのココロと体を痛めつけるのです。
モニターライオン
私は会社員時代、PC画面の周りにメモを書きした付箋がびっしりと貼られている様子を、ライオンのたてがみに見立て「モニターライオン」と呼んでいました。
このモニターライオンは、仕事の枠組みを組み立てるのが苦手な人のデスクによくみられる光景で、仕事を効率よくこなすための6W3Hが出来ていません。結果、仕事の進捗も中途半端になりどれも納期に間に合わない・・・徹夜につぐ徹夜という最悪のケースも見られます。
このタイプの人が、同時にたくさんのプロジェクトを抱えてしまったら、悲惨な結果がまっています。徐々にメンタルもボロボロになり、頭痛や胸やけ睡眠困難などの体調不良、特に腰痛を訴えるようになります。
6W3Hとは
よく5W1Hは知られていますが、仕事ではこの6W3Hが大切ですので参考にしてください。
Who | 担当者、対象者は「誰なのか」を理解する |
---|---|
Whom | 「誰と」「誰に」行うのかを理解する |
When | 仕事の納期や締め切りなど、期限は「いつなのか」を理解する |
Where | 仕事を行う場所は「どこなのか」を理解する |
What | 仕事の内容、関係先など、「何を」行うのか理解する |
Why | 仕事の目的、方針、理由など、「なぜ」行うのかを理解する |
How | 方法、手順を「どのように」進めるのかを理解する |
How much | 経費、費用は「いくら」かかるのかを理解する |
How many | 数量は「どれだけか」を理解する |
まちがった付箋の使い方
付箋は、すぐやるためのメモには役立ちますがプロジェクトなど時間がかかるものには向いていません。とりあえずのメモでは、先のモニターライオンになってしまい、その内容がいつ書かれたものでいつまでに何をしなければいけないかなど、時間がたつほど分からなくなってしまいます。
そして、そんなメモ付箋がPCだけでなく書類やデスクの上を覆いつくします。もうこうなっては、どこから手を付けていいやら、人にまかそうにも伝えようもなく、どの仕事も中途半端で納期をむかえるのです。
当然、上司からのあなたの評価は下がり、自信を失ったあなたのモチベーションは下がり続けます。
主訴
36歳女性。多店舗展開している大型アミューズメント施設のイベント企画を担当する責任者。シーズンや店舗に合わせて、常に4つ以上のプロジェクトを同時並行で考えなければならない。
割り込みの仕事も多く、どのプロジェクトも進捗率が悪いため、納期近くになると毎日終電か泊まり込みの日々が続き、体も精神的にもボロボロになっていくのを感じる。
最近は極度の腰痛と頭痛に悩まされている。レントゲンを撮っても異常は無く、痛め止めを処方されるがほとんど効かない。
初見
患者さんの体の痛みは、問診により仕事の忙しさからくる精神的なものが影響していると判断し、カウンセリングに切り替えました。話を聴くとやはり、デスク周りは付箋だらけとなり、ノートも箇条書きの記録ばかりで6W3Hがまるで組み立てられていませんでした。
カウンセリングとアドバイス
このような同時多発的な仕事が発生する場合、私が会社員時代に使っていた思考を整理する手法を覚えて頂くことにしました。
この手法は、私が会社を辞めて開院するさいに大いに効果を発揮しました。実際には、退職の手続きから資金調達、物件探しから内装工事業者との打合せ、自店の営業・広告からまでを極短期間で行う必要ありました。
今では、この手法をスマホの無料アプリとして手に入れることができ、紙に書いていたころにくらべると使い勝手が格段によくなっています。患者さんには、仕事の進捗管理と分配のしやすさを実際のアプリを使って、約1時間ほど体験していただきました。
術後
来院時には、覇気も無く絶望感さえ見られた患者さんがカウンセリングの途中から、目に力がもどり興奮してくるのが分かりました。まさに生気を取り戻したかのようです。患者さんいわく、「こういった考えや訓練を会社で受けたことがないので、長く暗いトンネルの先に出口がみえたようです」と。
もうこうなると、居ても立っても居られない感じで早くアプリを使って仕事にかかりたいとの事。あれほど辛かった腰の痛みが、カウンセリングだけでウソのように楽になり、頭痛も少し軽くなったようです。次回は、緊張している体の調整を行いますので、ひと段落ついたら来てもらうように伝えて終了です。
※当院では、この患者さんのケースは決して珍しいものではなく、過去にもカウンセリングだけで症状が劇的に軽快された方が沢山いらっしゃいます。メンタルヘルスの観点からも、企業においては、こうした人材教育の機会を多く設ける必要が有るのではと強く感じました。
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