変形性股関節症 人工股関節にしたくない!

変形性股関節症

患者数が100万人をこえると言われる変形性股関節症。中高年の女性に多く、股関節の痛みで歩くのもままならずに家に引きこもってしまうこともあります。変形性股関節症は股関節の軟骨がすり減り、直接骨同士がこすれることで炎症がおき周囲に痛みを感じるようになります。

できれば手術はしたくない

初期の股関節痛では、いまある機能を保存しその進行を遅らせる方法があります。ただし、減ってしまった軟骨は外科的な手術なしには絶対に再生しませんので、この方法はあくまでも現状維持か進行を遅らせるのが目的です。患者さんには、この辺りを十分に理解いただいたうえで調整に入って行きます。

股関節は、歩く、走る、飛ぶ、しゃがむなど人が活動するうえで必要な機能です。そして股関節周りには、強靭な靭帯と多くの筋肉があり、その機能を支えています。それでは下図を見ていきましょう。

当院で行う調整は、足を曲げるときに使う大腰筋や腸骨筋(合わせて腸腰筋)、伸ばす時に使う殿筋群をゆるめるところから入っていき全身に及びます。図にはありませんが、股関節周りをおおっている靭帯群にもアプローチを行います。同時に股関節周りの、筋力強化の取り組みを行います。

これだけでも、初め松葉づえで来られた方が数回の施術で何も持たずに歩いて来院されるようになります。ただし、股関節の正常な可動域は確保できず痛みも完全になくなるわけではありません。とはいえ、今までできなかったことが、無理しなければ出来るようになるということは、生活の質に大きな向上をもたらし、精神面においてもプラスに働きます。

人は痛みや精神的苦痛などが軽減されると、出来ることが多くなり嬉しさの余りどうしても体に無理をしてしまいます。まるで、今までできなかった事を取り戻すかのように活動量を急に増やす方もおられました。
その結果、未熟な股関節周りに大きな負担をかけることとなり、過去にはかえって悪化させてしまった事もあります。これは当院がきちんとした経過観察をおこたり、患者さんへの指導不足がもたらした悪い例です。

できれば手術はしてほしい

股関節の「保存」を選ばれた患者さんは、ほぼ不自由なく日々の生活を送って頂けます。しかし、いつも小さな痛みを感じ続けるのと同時に年が進むごとにいつかはもっと悪くなる日がくるのではと、心のどこかに常に不安があります。今回は、長年の保存から当院のすすめで人工股関節の手術を受けた方を紹介します。

主訴

16年4月、股関節痛がひどく松葉づえがないと歩けない。なんとかしてほしい。医師の診断では股関節の軟骨がへり炎症を起こしているのが原因とされた。手術は拒否してリハビリを続けたが結局、家から出るのがおっくうになり中断、引きこもりの生活が続いた。家にいることが多くなったので体重も10kg近く増え、大好きな演劇の鑑賞からも遠のき精神的にもつらい。また、家族からの強いすすめもあり、当院で調整を受けることにした。

初検

痛みのある股関節の可動域はほぼない状態。腰から足首までが、一体化したように筋肉が固まっている。歩くときは、腰から下を振り子のようにぶん回している。最近では腰痛にくわえ、痛む股関節と反対側の足の膝が痛むようになってきたので、寝たきりになるのではと不安を覚える。何もできない現状に、ストレスと将来への不安が入りまじりどうしていいか分からくなるとのこと。

施術

ゆっくりと、殿筋群や腸腰筋、下腿の筋肉をゆるめていきました。少しずつ可動域が広がっていることを、ご本人に確認していただきながらの調整を続けました。体に変化が見られるのは、ご本人にとっても安心につながります。痛い股関節かばって他の部分にも不調が見られますので、同時に全身調整を行っていきます。

術後

術後の変化の理解と、座ってできる股関節周辺のストレッチと筋トレの指導を行います。その後の変化は以下の通りです。

  • 5月:1~2週間に1度の来院。前半は、痛み変わらず。後半に少し痛みが変化した。
  • 6月:1~2週間に1度の来院。暖かくなったせいか歩行時の痛みがずいぶん減った。松葉づえから普通のストック(ダブル)に変更
  • 7月:2週間に1度の来院。ストックはシングルに変更。月末、更に痛みがましになったので、泊まりで旅行に行けた事が、さらにモチベーションを上げる要因になった。
  • 8月:3週間に1度の来院。痛みはひどくなることは無いがよくもならない小康状態。
  • 9月:3週間に1度の来院。痛みはあるが筋力の向上が見られ、月初からストックなしで歩けるようになる。念願の観劇にも行けるようになり、さらに友人関係も広がり精神面でのいい状態を維持。
  • 10月~12月:月に1度の来院。旅行に観劇にと、こちらが驚くくらい活動的になっている。股関節の状態は小康状態のまま。
  • 2017年:月に一度の調整での来院を続ける。股関節の状態は小康状態のまま。無理をすると痛みが強くなるが、悪化はしない。
  • 2018年:1~4月、月に1度の調整を続ける。
  • 2018年:5月には海外旅行に出かけ、ちょっと無理をしたので現地で鍼治療をおこなう。帰国後「できれば手術をしてほしい」と、人工股関節への代替を提案。当院で現状の調整を行い、小康状態を続けていても、痛みが完全になくなることは無いのは理解いただいている。ならば、同じ痛みでも手術を行いリハビリで消えていく、今後の痛みのない生活を取り戻したほうが将来の不安も消え賢明である旨くりかえし説明。現代の医療において人工股関節の手術は、私の知る限り失敗はなく、その関節の寿命も30年以上と長くなっている。手術も昔のように長時間ではなく数時間で終わり、終わった直後からリハビリを始めるようになっている。
  • 2018年:8月検査、医師より初期の糖尿病で血糖値が高く、現状手術は見合わせとのこと。生活改善が必要ということで、病院からのお薬に加え、当院での運動指導と低GI値食品群及びレシピをご紹介し血糖値改善に努めてもらう。
  • 2018年:12月、無事に手術終了。リハビリ生活に入る。
  • 2019年:1月、日常生活での痛みはほぼなくなり、ウォーキングを楽しむことや自転車にも乗れるようにまでなった。2月の来院以降、日時を指定しないフリーメンテナンスでの来院に切り替える。

手術はしたが治らない

人工股関節の代替手術は行ったが、リハビリが思うように進まず結局痛みがそのまま残ってしまった方もおられます。ただこれは、手術自体に問題はなくその後の患者さんの環境や、リハビリ担当者との問題の方が大きく影響している場合が多いです。

過去に数名、そういった経緯をもたれた患者さんにお越しいただいたことがあります。当院としては手術に問題ないのであれば、あとはどうのようにご自身の体と向き合っていくかをご相談させて頂き、調整を進めていくしかありません。幸いにも、皆さん見事に回復され社会復帰をなされています。逆に元気になり過ぎ、以前よりも動き回るものですからご家族の方がかえって心配されるケースもあります。「少しぐらい痛みのある方が、おとなしかった。また違うところをケガするんじゃないかと心配です」と、まあ悩みは尽きないものなのですね。

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