理解してもらえない苦しみ
有名なアナウンサーが。自殺したことで広く知られるようになった「線維筋痛症」。激烈な痛みが特徴のこの病気(難病指定)ですが、現在では治療薬も認可され日常生活がおくれるようになっています。
見た目は全くふつうに見えますので、周囲からの理解を得られず鬱やノイローゼで苦しんでいる方も多くいます。患者さんの言葉を借りると「血管・神経の中を、砕けたガラス片が流れているような痛み」と言わせるくらいに辛い症状なのです。
治ると聞けばすべて試した
「線維筋痛症ですが、そちらで診てもらえますが?」…この電話から、この患者さんと7年以上の長いお付き合いになるとは、全く予想もしませんでした。神経性疼痛障害の一種で、当時は国内に有効な治療薬がない状態でした。
私にとっては、初めて経験する神経症状です。やみくもに受けてしまって、余計に悪化させてしまう恐れがあるので一旦お断りをしました。しかし、診るだけでもとの強いご要望でしたのでご来院頂きました。
当院を選んだ理由は、まだ試していない「頭蓋仙骨療法」の施術があるからとの事。とにかく、痛みが楽になるのなら何でも試したい意向を強くお持ちでした。
今回は、その対応の一部をご紹介します。
主訴
20代女性。線維筋痛症と診断されている。今まで良くなると聞くと、ありとあらゆるものと試してきたがダメだった。例を挙げると、総合病院、ペインクリニック、整体、カイロ、自然療法、祈祷、除霊、心霊療法、気功セラピー、漢方治療、鍼灸、催眠療法、診療内科、精神科等々。
日々の生活は次の通り
- 服の袖に腕を通すだけでも激痛が走り、洗顔で水が触れるだけでも刺されるよう。
- お化粧のブラシが、ほほに当たるだけで痛くて涙がでてしまう。
- 日常生活の全てにおいて痛みが伴うので、出掛ける準備だけでも何時間もかかってしまう。
- 仕事(会社勤め)も出来ないので、両親の仕事の手伝いをさせてもらってる。
- 女性として男性とお付き合いもしたいし、結婚もしたい。
初見
主訴の通り、体に触れることすら難しい状態でした。可能な限り、痛みのでない範囲でチェックを行いたいのですが、それすらできませんでした。
幸い、ワンフィンガーテストで、後頭部とお尻の一部で痛みが少ないところがありましたので、そこから施術に入っていきました。
施術
当院で行う頭蓋仙骨療法は、CV‐4とOCCの二種類です。簡単に言うと後頭下筋から硬膜の緊張をゆるめ、脳脊髄液の流れをスムースにする事で、脳内麻薬と言われるエンドルフィンの分泌を促すというものです。
CV-4,OCC合わせて30分ほど、リラックスして施術を受けて頂きました。他にも、調整したいところはありますが、初回はここまでで終了です。
術後
痛みは、余り減った感じはないが、今までにないくらいに体が楽になったとの感想でした。
施術を始めて3回目位から、一部ではあるけれど体へのアプローチが出来るようになったので、更に調整の幅が広がりました。ちょうどこの頃、国内でもようやくF製薬が線維筋痛症治療薬の国内認証をとるため、治験を募集始めたところでした。せっかくなので患者さんには、自己責任にはなりますが応募してはどうかと勧めてみました。
後日、治験が決まったという事で報告に来院いただきました。ただ、治験が始まると1クール2年間は、一切の薬やその他の治療は禁止となります。患者さんも、ようやく巡り合えた当院へしばらく通えなくなる事をとても残念がっていました。
現在3クール目、途中間で来院頂いた時に確認すると、痛みはあるが今では日常生活に支障が出るようなことは無くなったとの事。一番痛いときからすれば80%近く痛みが無くなったそうです。
当院の施術が、どこまで助けになったのかは分かりませんが、きっかけとして良いお薬に出会えた事は、彼女のみならずこの病を抱えるすべての方への朗報になるのではないでしょうか。
※2021年現在では、ファイザー製薬よりリリカ Lyrica、ジェネリック医薬品としてプレガバリンPregabalinとして広く使用されています。
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