早い段階でのコントロールが大事
世界最速の男と呼ばれたウサイン・ボルト氏も、実は側弯症に悩まされていたとの事です。そして、彼は常に体を調整してもらうことで、あの素晴らしいパフォーマンスを維持していたのです。
現実には、一旦側弯した骨をまっすぐに治すことは出来ません。しかし、小学生などの軽い初期の段階で、積極的な取り組みを行うことで、進行を遅らせ、姿勢改善への期待が出来ます。
なぜか女子に多いのです
脊椎側弯症と診断されるのは、女子が圧倒的多く男子の5~7倍にもなります。脊椎側弯症には、癌や神経系の病気や、先天性、外傷性などがありますが、そのほとんど(70%以上)が原因の分からない特発性側弯症と呼ばれています。
側弯の程度によって、軽度、中度、高度に分けられますが、軽度以外の側弯は矯正装具を付けたり外科手術を必要とします。軽度の場合、経過観察となるのは成長の終了とともに側弯の進行も止まるからなのです。 現在予防法の無い脊椎側弯症ですが、進行を確認する方法として図のような「前屈テスト」が主に用いられます。
正確には、レントゲン診断で脊柱のコブ角を調べて判断しますが、この「前屈テスト」でもかなり正確に判定できます。
経過観察って、要は何もしない?
脊椎側弯症において、運動療法が有効だという客観的なデータはいまだに発表されていないためか、日本では伝統的に積極的な治療は行わず、医師は4~6ヶ月ごとに検査を行い、曲線が進行しているかどうかを確認するだけです。
理由としては「特発性=自然発生的に生じる、またはその原因が不明」なのと、軽度の場合は生活に支障が出ないためでしょう。それに対し欧米では、親や子供が脊椎側弯症の進行を防ぐために積極的な運動療法を試みており、脊椎側弯症への手術の防止または回避、姿勢の改善で成果をあげています。
当院でも、脊椎側弯症の知識の共有と徒手矯正、術後の運動指導などを積極的に行いその進行を止め姿勢を改善できるよう、ご家族と一緒に取り組んでいます。
主訴
17歳女性。数年前に脊椎側弯症の指摘を受けていたが本人が気にする様子も無く、また痛みなどの体調不良もなかったので対応を忘れていた。最近になって、スタイルの変化を気にするようになったので、本人自らが姿勢を改善したいとの事で来院されました。
初見
立った状態での確認では、中心軸からの頭の位置ずれ、肩甲骨および肩高さの左右差、お尻から腰にかけての左右差が認められました。うつぶせでの確認では、上部背筋群と腰部筋群の隆起が認められ、触ると固く緊張していましたが、脊椎の極端な弯曲は見られませんでした。脚の長短に左右差があるので、仰向けで、股関節、肩関節、首周りの可動域を確認しましたが、こちらは正常で特に問題はありませんでした。
施術
当院では、部分的な調整はせず、からだ全体を一つのシステムとしてとらえるので、まず骨盤を支えている下肢の調整を行いました。次に腰、お尻回りのバランスを整え、背部の隆起部分と前面の胸筋群の調整を行い、最後は腰のバランスとの関係が深い、頸椎の調整を行い終了です。
術後
立った状態での見た目の姿勢に改善が見られ、肩の左右差と腰の高さに、来院時よりも変化が出ていました。保護者の方をまじえ、術後の運動指導と毎日の生活で気を付けることをお伝えして終了です。調整サイクルは、月1回程度をめどに検討してもらうようにしました。
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