登校拒否 キャンプカウンセリングで気持ち開放

登校拒否

子供さんを取り巻く環境は激変している

お子さんに対して「人前では、自分の意見をしっかりと言える子供になって欲しい」、「明るくいつも元気で、誰とでも仲良しになって友達を沢山作ってほしい」など、親御さんなら普通に思う事です。

ところが、現代の子供さんを取り巻く環境は複雑で忙しく緊張の連続で、ホッと気を休める暇もないのです。IT機器の充実で、膨大な量の情報が「自ら経験し判断する」をいう事から遠ざけ、頭でっかちのまま何かに追われるように日々を過ごしているのではないでしょうか?

一番頑張っているのは本人

登校拒否で一番頑張っているのは当の本人で、周りからアドバイスをすればするほど訳が分からなくなって家を出られなくなってしまいます。いわゆる引きこもり状態です。そして、外の世界と唯一の接点が、家族ではなくネットが中心となりやすいのが現代の子供を取り巻く環境です。

強いストレスに対して心はバリアを張って防御するものですが、精神構造が未熟な場合はそのバリアが「家」であったり「部屋のドア」などが無意識のうちに物理的な防壁として働きます。

また、本来三位一体の働きをしている「心」「体」「頭」のバランスと崩すと、一番先に現れるのが「体」への不調となります。「頭」では頑張らなけらばならないと分かっているのに「体」が動けないのです。今回のキャンプカウンセリングの例では、まず体に大きな不調を抱えて医師から「疼痛性障害」と診断された子供さんの事例です。

主訴

学校の剣道クラブでのトラブルから、膝から足首にかけての激しい痛みが出るようになり、一ヶ月たったのですが全然痛みがとれないとのこと。本人が一番つらく、歩くのも松葉づえでやっとといった感じ。剣道以外にもサッカー習うくらい活発な子供さんで、「スポーツも勉強も大好きなので早く復帰したいが、体がいう事を聞かないので将来が心配」と、同行の親御さん。

医師からは【疼痛性障害】と診断されたそうで、いわゆる精神性の障害からくる痛みという事です。処方として、ごく弱い安定剤を出されているようですが、親御さんとしても薬に頼るのはやはり心配とのこと。

初検

来院時は、家族に支えらえれ松葉づえでなんとか動ける状態。疼痛として膝より足首の方に顕著な反応が見られ、私が手を近づけるだけでも痛みからの恐怖で足が逃げてしまいます。全身が緊張し、睡眠と食事のバランスも上手く取れていない様子でした。

子供さん本人から話を聞くと、どうやら学校でクラブ活動の先生に、練習の仕方について相当なプレッシャーをかけられたようで、その際先生に(体罰でなく激励のつもりで)膝辺りを「ポン」と竹刀で軽く叩かれてから症状が出始めたそうです。

施術

  • 【初回】疼痛の原因は足になく歩けないのも心因性なので、初回は膝下以外の全身の調整を行いました。体を触った感じでは、さすがに剣道をやっていただけあってか下肢の筋肉もしっかりとしており、可動や筋反応にも問題は見られませんでした。
  • 【2回目】2回目は自力で歩いて来院できましたが、まだこの時点では、足首・膝の疼痛には変化はありません。家での様子は、寝付けないでイライラするの突発的に家族に当たり散らしていたようです。施術は1回目と同様に、体の緊張を取ることを主に行いないました。
  • 【3回目】少し調子が良くなったので、慣らしで学校に行こうと準備をしていたら、突然過呼吸でパニックになってしまうとの事。まず、全身の調整を行いパニックになりそうなときは、大好きな剣道にある調息(呼吸法)調心(心)を思い出してもらい練習をしました。
  • 【4回目】やはり武道の効果は素晴らしく、以来パニックからの過呼吸は起きなくなったそうです。同時に、足首の疼痛も強弱がはっきりと出るようになり、痛みが強くなるのは、やはり学校に行こうと準備をし、いざ家を出ようとした時にだけだそうです。

ここで、キャンプカウンセリングを提案し、子供さんも自らやってみたいとの返事でしたので、日時とプログラムを設定しご両親同伴のうえ実施しました。

術後

キャンプカウンセリングの実施場所は、摩耶山の登山ルートの一つを「摩耶東谷」を選択。

ここを選んだのは、他のハイカーが通らないバリエーションルートの一つで、人目を気にせず貸し切り状態で実施できる事。そして、エスケープもロープウェイやケーブルカーが利用でき気持ち的に安心なの事です。そして、子供さんの初登山にしては少しだけ難易度が高めの設定で、自身の限界に挑戦して頂きます。

事前の打ち合わせで、リーダーを子供さん、サブリーダーは私とし、常にバックアップ体制を維持することで実行します。途中の休憩や、食事のタイミングまた無理は絶対にしないとの約束で、撤退の判断についても子供さんに全て任せます。

またルート上のランドマーク(現在地確認場所)についても、子供さんとご両親を交えて予習をし、オリエンテーリングの要素を取り入れ地図を読みながら楽しく登山出来るように工夫しています。

当日は天気も上々、まっさらな帽子とリュックで肩の痛みも気にならないとの事でスタート。刻一刻と変化する景色を楽しみながらリーダーとしての責任感もしっかりと出てきて、なにより全身と五感を働かせての登山はいい刺激になったようです。

途中、しんどくて泣きも入りましたが「リーダーは君だから、みんなその判断に従うよ。決して間違いではないし、登山は勝ち負けでは無いのだから」と激励。しんどさの余りパニックになって過呼吸に陥りそうになった時も、「調息・調心!」と私が一言かけるだけで、落ち着きを取り戻すまでコ自分をコントロール出来ていました。

学校や、日常生活においても自分をコントロールすることはとても大切なのです。 結局最後まで登り切り、大人でも大変なコースをよく頑張ったと、記念のバッジを購入しプレゼントしました。逆に、ご両親の方がボロボロで日頃の運動不足がでてしまう結果となり、これもまた子供さんに自信を付けたようです。

ご両親からも「本当は、先生には悪いのですが絶対に途中であきらめると思ってました。あの子の中に、こんな力が眠っていたなんで知りませんでした。いい勉強になりました」と。 その後、「何かあったらすぐにおいで。こんどはもう少し厳しい所に連れていってあげるよ」と、子供さんと約束をし、施術は一旦終了し様子見とさせて頂きました。

後日談として、ご両親から「学校にも週3くらいで徐々にですが行けるようになり、今では体の痛み等の不調はありません。そして、山が気に入ったようで年末は実家のある大山(鳥取県)へ登ろうと計画しています」とのお返事を頂きました。 その年に頂いた年賀状には、大山のモルゲンロートを背に元気そうなお子さんの写真がありました。

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