筋膜リリース 流行っているがなんだろう

筋膜リリース

視聴率のためなら…

以前の情報番組では「食レポ」「旅レポ」があれば、ある程度視聴率が稼げましたが、ネットの発達した現代ではそれほど興味をひきつけなくなりました。

代わりに登場したのが「健康情報」です。食レポと違って、一般には分かりにくい病気や体の仕組みや解決方法を分かりやすく伝えてくれます。超高齢化社会に突入している日本においては、健康情報番組はまさにタイムリーに登場した、視聴率アップの手法なのです。

健康お手軽症候群

最近テレビを見ていると、健康情報を取り上げるチャンネルが本当に増えたように思います。あるある〇〇、ためして〇〇など番組自体の信ぴょう性を高めるため、テーマごとに医学博士を連れてきて箔付けするありさまです。

先日も患者さんから、「肩こりや腰痛は生理食塩水を筋膜のあいだに入れると一発で治るんだよ」とお話を頂きました。情報源はためして〇〇だそうです。いちいち反論はしませんが視聴者に「筋膜リリースが先端の治療法」と思わせているのなら、とても危険な考えを放送していることになります。

むかしみのもんたさんが昼の情報番組で、体にいい食べ物を毎回やっていたのに状況は似ています。

ココア事件(放送の翌日、店頭からココアが消えた)は記憶に新しいと思いますが、砂糖が主のココア飲料(バンホーテンのカカオ100%なら問題なし)を摂取した結果として、内科において血糖値異常の患者が増えたという笑えない事態になりました。

最近では、バナナや納豆でも同じ現象がおきましたね。今まさに健康情報番組でも、同じことが起きようとしています。いたるところで、情報の偏りと浅い傾向が見られるのです。

じゃあ医学博士は間違っているの?

結論から言うと「正しい」ことは言ってます。ただし!一部分においてです。例えば、肩こりを例にとると単純なコリであれば先の生理食塩水を使う筋膜リリースも正しいでしょうが、心臓病、ガン、感染症などほかの病気だったらどうでしょうか。

番組のあと、時を同じくして「筋膜リリースできます」と、看板をあげるお店がいきなり急増しました。もし、心臓に問題のあるかたが知らずにそのような所に通ったとしたらとんでもなく怖いことで、視聴者に「間違った」判断をさせた事になります。

※腰痛、肩こり、頭痛のおもな種類については「お困りの症状」を参照ください。

そもそも筋膜ってなんなの?

始めから話がそれてしまいました。ごめんなさい。 そもそも筋膜ってなんなのか、なんとなくでしかイメージが涌かないのではないでしょうか。実際に、筋膜リリースをされているセラピストの方にも同じような方がいらっしゃるかもしれません。

今回このコラムでは、特に患者さんからの質問が多くなったこの「筋膜」についてのお話をしたいと思います。

筋膜のあらまし

筋膜は、頭からつま先まで全身を包み込むストッキングのような結合組織です。筋膜が、それぞれの筋肉をつつみ込むことで他の筋肉との摩擦をへらし、体を自由に動かすことが可能になります。

それらは、皮膚のすぐ下、筋肉、骨、神経、血管、器官および細胞の周囲に見ることができ、あらゆるものがこの筋膜を含む「膜」によって複雑に連携しています。

そして、怪我や痛みなどにより筋膜の働きが制限され固くなると、包まれている筋肉の働きにも制限がかかってしまい、ほかの場所で症状を引き起こす可能性がでてきます。ですからセラピストは筋膜リリースを施術するさい、この固くなった筋膜に自然な弾性を回復させること目的としなければなりません。

浅筋膜と深筋膜

それでは、浅筋膜と深筋膜の違いについて図を参考にしながら見ていきましょう。

浅筋膜

「浅筋膜」は皮膚の直下にある筋膜で、皮下組織を形成し筋肉を皮膚から隔てています。また、この浅筋膜は中性脂肪のほとんどを皮下に蓄え、断熱層として働いたり物理的な外傷から筋肉を保護しています。そして、神経・血管・リンパ管の通り道にもなっています。

深筋膜

浅筋膜の奥にあるのが「深筋膜」と呼ばれる組織です。人が活動するためのいわゆる骨格筋と呼ばれる筋群を束ねながら、保護と補強をしています。また深筋膜は、神経・血管・リンパ管を保持しながら筋肉が自由に動くことを可能にしています。実際には、力こぶなどで深筋膜の働きを見ることができます。さらに深筋膜は、腱となって骨に密着します。

このように骨格をささえる筋肉は、働きのちがう「浅筋膜」と「深筋膜」に包まれています。このちがいを理解しないで行われる施術はもはや筋膜リリース呼べず、たださすったりもんだりしているにすぎません。

カイロプラクティックでは、これらの筋膜を意識して施術するのは当然のことです。いわば全身にある「膜」をいかに的確にコントロールし、症状の早期改善を行うかが大切になって来ます。

当院では筋膜リリースを含め独自の筋調整法(Dmam/Pmam)を取り入れています。詳細は以下のリンクを参照ください。

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